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契約・フリーランス新法

ホームページの保守を解約したら違約金は?契約書の4条項と通知期限

ホームページの保守の解約で違約金がかかるかは、契約期間・自動更新と通知期限・中途解約・終了時の引き渡しの4条項で決まります。民法の考え方、通知期限の数え方、解約前に取り戻すもののリスト、通知と依頼の文例をまとめました。

ホームページの保守を解約したいけれど、違約金を請求されないか不安で動けない。この記事は、そんな中小企業の Web 担当者・経営者に向けて、違約金がかかるかどうかを自社の契約書で確かめる手順を示します。持ち帰れるものは、契約書の4つの条項を読む確認表、通知期限の数え方、解約の前に取り戻すもののリスト、そのまま使える通知と依頼の文例です。

結論を先に書きます。違約金がかかるかどうかは、「契約期間」「自動更新と通知の期限」「中途解約と違約金」「終了時の引き渡し」の4つの条項でほぼ決まります。法人の契約には、消費者を守るためのルール(消費者契約法の違約金の上限やクーリング・オフ)は原則として使えません。だから契約書を読む順番と、通知を出す前の準備が大切です。

違約金がかかるかは、契約書の4つの条項で決まる

まず契約書(または申込書と利用規約)を手元に出し、次の4つの条項を探してください。違約金の有無だけでなく、「いつまでに・どの方法で伝えれば、追加の支払いなしに終われるか」がここで分かります。

見る条項 探す言葉 確かめること
1. 契約期間 契約期間、有効期間、最低利用期間 始まった日と満了日。最低利用期間(例: 1年)があるか
2. 自動更新と通知の期限 自動更新、更新、期間満了の○日前、○ヶ月前 何日前までに、誰に、どの方法(書面・メール・管理画面)で伝えるか
3. 中途解約と違約金 中途解約、解約金、違約金、残存期間、一括 期間の途中でやめたとき、何をいくら払うか。計算式があるか
4. 終了時の引き渡し 契約終了、引き渡し、データ、アカウント、著作権 データ・ID・パスワード・ドメインを渡してもらえるか。費用はかかるか

4つの条項を読んだら、自社の状況は次の3つのどれかに当てはまります。

  • 満了日に合わせて、通知の期限までに伝えられる → 違約金の条項は原則として関係しません。期限と方法だけ守ります
  • 期間の途中でやめたい → 3の条項に書かれた額が出発点です。条項がなければ、次の節の「契約の型」で考え方が変わります
  • 通知の期限をすでに過ぎた → 次の期間に自動更新されている可能性が高いので、相手に相談して、満了日まで待つか途中解約の条件を交渉します

契約書が見つからないときは、保守会社に「現在の契約書(または申込書・利用規約)の写しをください」と頼んでください。請求書だけでは、期間や通知の期限は分かりません。

法人の契約に消費者向けのルールは原則使えない

消費者契約法には、解約に伴う違約金のうち「同種の契約で事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分」を無効にするルールがあります(第9条1項1号)。ただしこれは「消費者契約」に限った話で、法人や、事業のために契約した個人は「消費者」に入りません(第2条)。

クーリング・オフも同じです。特定商取引法の訪問販売・電話勧誘販売などの規定は、「営業のために若しくは営業として」結んだ契約には適用しないと定められています(第26条1項1号)。会社のホームページの保守は、原則としてこちらに当たります。個人事業主で、事業との関係が薄いなど特殊な事情があるときは、自分で判断せず弁護士に相談してください。

あなたの保守契約はどの型か(準委任・請負・リース)

違約金の条項がない場合や、条項の意味がはっきりしない場合は、契約の型によって考え方が変わります。月額で更新・監視・修正を頼む保守は「準委任」、作り直しや改修の途中なら「請負」、リース会社の名前が入っていれば「リース契約」が別にあると考えて読み進めてください。

契約の型 よくある形 民法の原則 払う可能性があるもの
準委任 月額の保守・運用・更新代行 いつでも解除できる(第651条1項、第656条で準委任に準用) 履行した割合の報酬(第648条3項)。不利な時期の解除などでは損害賠償(第651条2項)
請負 リニューアル・改修の制作 完成前なら、注文者は損害を賠償していつでも解除できる(第641条) 作業済みの分を含む損害の賠償
リース+保守 「ホームページリース」。リース会社と保守会社が別 中途解約できるかはリース契約の条項で決まる。保守契約とは別に確かめる リースの残りの額、保守契約の条項に沿った額

月額の保守の契約書に「準委任」と書いてあるとは限りません。「保守業務委託契約」「運用サポート契約」などの名前ではなく、頼んでいるのが作業そのもの(更新・監視・問い合わせ対応)か、完成した成果物かで見分けます。どの型に当たるかで争いになりそうなら、そこは専門家の判断を仰いでください。

違約金と「残り期間の保守料」は別のもの

「途中でやめるなら残りの期間の保守料を全部払ってください」と言われることがあります。けれど民法の原則では、準委任の保守をやめたとき、残りの期間の報酬がもらえなくなること自体は損害賠償の理由になりません。

条文の作り(民法第651条2項)

第651条1項は「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」と定めています。2項は、解除した側が相手の損害を賠償しなければならない場合として、次の2つを挙げています(やむを得ない事由があるときを除く)。

  • 1号: 相手方に不利な時期に委任を解除したとき
  • 2号: 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したとき

2号のかっこ書きが大切です。「報酬を得る」という利益だけでは、2号の損害賠償の理由にならないと条文に書かれています。そして委任が途中で終わったときは、受任者は「既にした履行の割合に応じて」報酬を請求できます(第648条3項)。つまり契約書に特別な定めがなければ、原則は「作業してもらった分を払う」です。

契約書に違約金の定めがあるとき

一方で、契約書に「中途解約の場合は解約金として○円」「残存期間の保守料を一括で支払う」といった条項があれば、話の出発点はその条項になります。民法は、当事者が損害賠償の額を前もって決めておくことを認めていて(第420条1項)、「違約金は、賠償額の予定と推定する」と定めています(同条3項)。法人どうしの契約には、先に書いた消費者契約法の「平均的な損害を超える部分は無効」は使えません。

それでも、条項の額が作業の実態とかけ離れているときや、契約のときに説明がなかったときは、交渉の余地があります。その条項がどこまで有効かは、契約の内容や事情で変わる個別の判断です。請求額が大きいときは、支払う前に弁護士に相談してください。

利用規約(定型約款)で結んだ保守のとき

Web の申込みフォームから、利用規約に同意して始めた保守もあります。こうした規約は、民法の「定型約款」に当たることがあります。

定型約款の条項のうち、相手方の権利を制限したり義務を重くしたりするもので、信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、「合意をしなかったものとみなす」とされています(第548条の2 2項)。規約をあとから変えるときも、相手方の一般の利益に合うか、契約の目的に反せず合理的なときに限られ、効力が生じる時期を定めてインターネットなどで周知する必要があります(第548条の4)。規約が途中で変わり解約金が増えていた、といった場合は、変更の通知がいつ・どう出されたかを確かめてください。

「違約金の相場」について

インターネット上には「違約金は残り期間の数ヶ月分が相場」といった記述がありますが、違約金の額は契約ごとに決まるもので、この記事では相場の数字は示しません。相場と比べるより、自社の契約書の条項と、実際に受けていた作業の中身を照らし合わせるほうが確かです。保守の中身と月額が見合っていたかは「ホームページの保守費用の相場:払いすぎ・足りなすぎの見分け方」で確かめられます。

自動更新の通知期限を逃さない数え方

自動更新の契約で違約金を払わずに済ませるいちばん確かな方法は、通知の期限までに、決められた方法で、相手に「届かせる」ことです。民法では、意思表示は「その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」とされています(第97条1項)。送った日ではなく届いた日で考えてください。

期限日の例

満了日が2027年3月31日の契約で、条項ごとの期限を単純に日数で引くと次のようになります(例)。

条項の書き方 期限日の目安(例) 目標にする発送日(例)
満了日の30日前まで 2027年3月1日 2027年2月中旬
満了日の60日前まで 2027年1月30日 2027年1月中旬
満了日の90日前まで 2026年12月31日 2026年12月中旬
満了日の3ヶ月前まで 2026年12月31日前後 2026年12月中旬

この表は、満了日から日数を引いただけの目安です。民法には、日・週・月・年で期間を定めたときは初日を算入しない(第140条)、月や年で定めた期間は暦に従って計算する(第143条)といった決まりがあり、契約書の文言によって1日程度ずれる解釈もありえます。年末年始や連休は相手が受け取れないこともあるので、表の右の列のように、期限の2週間前には届く日程で出してください。

通知の方法は契約書に従う

契約書に「書面により」とあれば書面で、「当社所定の方法」とあれば管理画面やフォームで出します。メールでよいと書かれていても、届いたことが後から確かめられる形にしておくと安心です。

方法 証拠の残り方 向いている場面
管理画面・解約フォーム 受付の画面や自動返信メールを保存 契約書でその方法が指定されている
メール 送信記録。相手の返信で受け取りを確認 契約書でメールが認められ、相手と普段から連絡が取れている
内容証明郵便(配達証明つき) 送った文面と、届いた日を郵便局が証明 期限が近い、相手の反応が遅い、揉めそう

内容証明郵便は、日本郵便の「e内容証明」を使うとインターネットから24時間出せます。料金は文書1枚の場合、郵便料金110円・電子郵便料金19円・内容証明料金382円・謄本送付料金304円・一般書留料金480円の合計1,295円で、届いた日を証明する配達証明をつけると350円が加わります。文書は Microsoft Word(2016・2019・2021・Microsoft 365)で作り、5枚までです。

解約通知の文例

件名:ホームページ保守契約の更新をしない旨のご通知

株式会社〇〇 御中

当社と貴社の間の「〇〇保守契約」(契約日:20XX年X月X日)について、
契約書第X条に基づき、20XX年X月X日の期間満了をもって更新しないことを
ご通知いたします。

つきましては、契約書第X条(契約終了時の措置)に基づき、
別紙の情報・データを20XX年X月X日までにお引き渡しくださいますよう
お願いいたします。

本通知の受領につき、ご返信をいただけますと幸いです。

20XX年X月X日
株式会社△△ 担当:〇〇(連絡先)

「解約」より「更新しない」と書くほうが、満了日での終了であることがはっきりします。期間の途中でやめる場合は、「契約書第X条に基づき、20XX年X月X日をもって解約します」とし、精算の方法を問い合わせる一文を加えます。

解約を伝える前に、取り戻すもの(順番が大事)

解約を伝える前に、ドメイン・サーバー・WordPress の名義とログイン情報を自社の手元にそろえてください。先に解約を伝えると、関係が気まずくなり、データやアカウントの引き渡しが遅れることがあります。

進める順番

  1. 名義とアカウントの確認: 何が誰の名義で、誰がログインできるかを一覧にする
  2. データの写しをもらう: サイトのファイル一式とデータベースのバックアップ
  3. 乗り換え先を決める: 新しい保守先に、受け取る準備ができるか確かめてもらう
  4. 解約(更新しない旨)を通知する: 前の節の期限と方法で
  5. 切り替えと確認: ドメイン・サーバーの移管、パスワードの変更、表示の確認

取り戻すもののチェックリスト

項目 確かめること 自社で確かめる方法
ドメイン 登録者(名義)が自社か。どこの事業者で管理しているか 事業者の管理画面、または保守会社に登録情報の写しを依頼
DNS 誰が設定を変えられるか 保守会社に、どこで DNS を管理しているかを聞く
サーバー 契約者の名義。支払いは誰か サーバー会社の請求書・契約者情報
WordPress の管理者 自社のメールアドレスの管理者アカウントがあるか 自社で管理画面にログインできるか試す
FTP・SSH などの接続情報 接続先と ID 保守会社に一覧を依頼
データ一式 ファイルとデータベースのバックアップ 保守会社に、日付入りで受け取る
アクセス解析・Search Console 自社のアカウントに管理者の権限があるか 各サービスの設定画面の「ユーザー」
メール 独自ドメインのメールがどこで動いているか サーバーの管理画面、または保守会社に確認
有料のテーマ・プラグイン ライセンスの名義。引き継げるか 保守会社に購入先と名義を確認
著作権 契約書に移転の条項があるか。改変してよいか 契約書の「著作権」「知的財産」の条項

このリストを、受け取る側の目線で項目を足して使えるようにしたものが、Handoff の無料の「引き継ぎチェックリスト」です。

著作権の条項で見落としやすい点

契約書に「著作権は納品時に甲に移転する」とだけ書かれている場合でも、注意が要ります。著作権法では、著作権を譲る契約で、翻訳・翻案の権利(第27条)と二次的著作物の利用の権利(第28条)が「譲渡の目的として特掲されていないとき」は、それらの権利は譲った側に残ると推定されます(第61条2項)。

デザインやプログラムを新しい保守先が手直しするとき、この点が問題になることがあります。契約書に「第27条及び第28条の権利を含む」と書かれているかを確かめ、書かれていなければ、解約の前に前の保守会社と改変してよいかを書面で確認しておくと安心です。

引き渡しの依頼の文例

件名:保守契約の終了に向けた情報のご提供のお願い

いつもお世話になっております。
保守体制の見直しにあたり、下記の情報と資料のご提供をお願いいたします。
20XX年X月X日までにいただけますと幸いです。

1. ドメインの管理事業者名と登録者の名義、管理画面のログイン情報
2. DNS の管理場所と設定内容の一覧
3. サーバーの契約者の名義と管理画面のログイン情報
4. WordPress の管理者アカウント(当社のメールアドレスで1つ追加をお願いします)
5. FTP・SSH などの接続情報
6. サイトのファイル一式とデータベースのバックアップ(取得日を明記)
7. 有料のテーマ・プラグインの購入先とライセンスの名義
8. 契約書(または利用規約)の写し

ご不明な点はご連絡ください。

この依頼は、解約の通知より前に出しても不自然ではありません。「保守体制の見直し」「社内での管理情報の整理」として頼めば、相手との関係を保ったまま準備が進みます。

制作会社・保守会社と連絡がつかないとき

連絡がつかないときも、通知を「届かせた」証拠を残し、自社でできる名義の手続きから進めます。いちばんの壁はドメインの名義です。

通知は内容証明で、届いた記録を残す

メールに返事がなく、電話もつながらないときは、契約書や登記にある住所に内容証明郵便(配達証明つき)で通知を送ります。民法は、相手方が正当な理由なく通知が届くのを妨げたときは、「通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」と定めています(第97条2項)。受け取りを拒まれた場合も、送った記録と戻ってきた封筒は捨てずに保管してください。

JP ドメインを取り戻す手続き

「.jp」「.co.jp」などの JP ドメインの管理事業者を変えるには、「認証コード(AuthCode)」が必要です。JPRS の説明では、流れはおおむね次のとおりです。

  1. 登録者が、今の管理事業者に AuthCode を頼む
  2. 今の管理事業者が JPRS に発行を頼み、登録者に知らせる
  3. 登録者が、新しい管理事業者に AuthCode を添えて申し込む
  4. JPRS から今の管理事業者を通じて、登録者に変更の意思が確かめられる
  5. 登録者が承認すると、切り替えが終わる

AuthCode の有効期間は、JPRS が作った日の翌日から数えて35日目の23時59分59秒までです。期限が切れたら、もう一度頼み直します。「指定事業者変更ロック」や「レジストリロック」がかかっているときは、先に解除が必要です。

AuthCode は、申請するのが登録者本人か、登録者から頼まれた人かを確かめるためのものです。つまり、ドメインの登録者が制作会社の名義になっていると、自社だけでは手続きを進められません。連絡がつかず名義も相手にある場合は、まず今の管理事業者に事情を伝えて相談し、それでも進まないときは弁護士に相談してください。「.com」などのドメインは手続きが異なるので、管理している事業者の案内を確かめてください。

サーバーの名義が相手にあるとき

サーバーの契約者が保守会社の場合、保守会社が支払いを止めると、サイトもメールも止まるおそれがあります。手元にバックアップがあれば、新しいサーバーに作り直せます。連絡がつかない状況が続いているなら、まずバックアップの確保を最優先にしてください。

リース契約と保守契約がセットになっているとき

「ホームページリース」で契約している場合は、リース契約と保守契約を分けて確かめます。片方をやめても、もう片方が残ることがあるからです。

3者の関係を書き出す

相手 契約 確かめること
リース会社 リース契約 中途解約の可否、残りの額の計算方法、物件(ソフトウェア・サイト)の扱い
保守会社・制作会社 保守契約・制作契約 期間、通知の期限、違約金、引き渡し
販売した会社(制作会社と同じこともある) 申込書・説明資料 契約のときに受けた説明の内容

まずリース契約に、中途解約を認めない条項や、残りの額を一括で払う条項があるかを確かめます。例として、月3万円・期間5年(60ヶ月)のリースを2年(24ヶ月)で終えたいとき、残りの36ヶ月分を一括で払う条項なら、残りの額は3万円×36ヶ月=108万円になります(例。実際の額は契約書の計算方法によります)。

リース契約は事業者どうしの契約なので、クーリング・オフは原則として使えません。説明と実際の内容が違う、勧誘に問題があったといった相談は、公益社団法人リース事業協会の「リース相談窓口」(03-3595-2801)が受け付けています。小口のリース取引の相談に対応していて、受付時間は変わることがあるので、電話の前に協会のサイトで確かめてください。

解約したあと、サイトを放置しない(乗り換え先と次の契約)

保守を解約したら、その日から更新を誰もしないサイトになります。乗り換え先を決めてから解約するのが原則で、少なくとも「誰が更新を担当するか」を決めずに契約を終えないでください。

放置したときの目安になる数字

IPA(情報処理推進機構)の「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査」(全国の中小企業4,191社、2024年10月25日〜11月6日に Web アンケート、速報版は2025年2月14日公開)では、過去3期に起きたサイバーインシデントの被害額の平均は73万円、100万円以上だった企業は9.4%でした。復旧までの期間の平均は5.8日で、50日以上かかった企業が2.1%ありました。

これは Web サイトの改ざんに限った数字ではなく、サイバーインシデント全体の数字です。それでも、保守料を浮かせた結果として、それを上回る出費と業務の停止が起こりうることの目安になります。

乗り換え先に確かめること

WordPress の公式サイトは、推奨の環境として PHP 8.3 以上、MySQL 8.0 以上または MariaDB 10.11 以上、HTTPS の対応を挙げています。PHP の公式サイトによると、PHP 8.2 のセキュリティサポートは2026年12月31日で終わり、PHP 8.3 は2027年12月31日まで、PHP 8.4 は2028年12月31日までです。

乗り換え先に聞くこと よい答えの例
今のサイトの PHP と WordPress の版を調べてもらえるか 引き継ぎの前に調べ、古ければ上げる計画を出す
更新(本体・プラグイン・PHP)の頻度 月1回など、頻度と手順が決まっている
バックアップの取り方と保管期間 自動で取り、復元を試したことがある
障害のときの連絡方法と対応時間 連絡先と受付時間が契約書に書ける
契約が終わるときの引き渡し データ・アカウントを渡すことを契約書に書く

今のサイトが PHP 8.2 以前で動いている場合、2026年12月31日を過ぎるとセキュリティの修正が出なくなります。乗り換えの時期を決めるときの材料にしてください。乗り換え先の探し方が分からないときは、Handoff で保守の乗り換えの相談を無料で出せます(企業の方の入口)。

次の契約で困らないために入れておく条項

今回の解約で苦労した点は、次の保守契約の条項で防げます。新しい保守先と契約するとき、次の5つが書かれているかを確かめてください。

条項 入れておきたい内容
契約期間と最低利用期間 期間と、最低利用期間の有無。ある場合はその長さ
更新と通知 何日前までに、どの方法(メールでよいか)で伝えれば更新しないか
中途解約の精算 途中でやめるときの計算方法(その月までの日割り、上限のある解約金など)
終了時の引き渡し データ一式・ID・パスワード・ドメインを、いつまでに、費用の有無も含めて渡すこと
名義と著作権 ドメイン・サーバーの名義を自社にすること。著作権の移転には第27条・第28条の権利を含むこと

条項の書き方の例は「ホームページの保守契約書の書き方:範囲・対応時間・解約と引き継ぎ」にまとめています。保守を手放す制作者の側から見た手順は「保守をやめたい制作者の引き継ぎ手順:伝え方・名義・後任探し」にあり、相手がどう動くかを知っておくと交渉がしやすくなります。

よくある質問

メールで解約を伝えてもよいですか。契約書で書面に限ると定められていなければ、メールでも伝えられる場合があります。ただし届いたことを後から示せるよう、相手から受け取りの返信をもらうか、期限が近いときは内容証明郵便を併用してください。

通知の期限を1日過ぎてしまいました。自動更新の条項があれば、次の期間に更新された扱いになる可能性があります。まず相手に事情を伝え、満了日まで待つか、途中で終える条件を相談してください。

違約金の請求に納得できません。契約書の条項と、実際に受けていた作業の記録(作業報告、請求書)をそろえたうえで、顧問の弁護士や地域の弁護士会の法律相談に相談してください。リースが絡む場合は、リース事業協会の窓口も使えます。

明日からやること

  • 契約書(または申込書・利用規約)の写しを手元に用意し、4つの条項に印をつける
  • 満了日と通知の期限をカレンダーに入れ、期限の2週間前を発送日にする
  • 解約を伝える前に、引き渡しの依頼の文例で名義・ログイン情報・バックアップを集める
  • ドメインの登録者が自社の名義かを確かめる
  • 乗り換え先を決めてから、更新しない旨を通知する

出典・参考

  1. 民法(明治29年法律第89号)第651条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  2. 民法 第648条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  3. 民法 第641条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  4. 民法 第656条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  5. 民法 第420条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  6. 民法 第97条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  7. 民法 第140条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  8. 民法 第143条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  9. 民法 第548条の2(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  10. 民法 第548条の4(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  11. 消費者契約法 第2条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  12. 消費者契約法 第9条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  13. 特定商取引に関する法律 第26条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  14. 著作権法 第61条(デジタル庁 e-Gov 法令検索)
  15. e内容証明(電子内容証明サービス)(日本郵便)
  16. ドメイン名の管理指定事業者の変更(株式会社日本レジストリサービス(JPRS))
  17. 指定事業者変更ロック(株式会社日本レジストリサービス(JPRS))
  18. リース相談窓口(公益社団法人リース事業協会)
  19. 2024年度中小企業等実態調査 速報版の公開(プレスリリース 2025年2月14日)(独立行政法人情報処理推進機構(IPA))
  20. 2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査(独立行政法人情報処理推進機構(IPA))
  21. Requirements(WordPress.org)
  22. Supported Versions(The PHP Group)

保守契約解約違約金引き継ぎWordPress

Handoff 編集部Web 制作者どうしで案件と保守を渡し合う場「Handoff」の編集部です。制作の現場と、ホームページの保守の困りごとについて書いています。